産後すぐの糖質制限は危ない!? スウェーデンでは救急搬送の例も

糖質摂取量の減らし過ぎは

命の危険さえ伴うことも

 糖質制限がテレビや雑誌など多くのメディアで注目を集め続けています。

 

 過去にも「主食抜きダイエット」「ローカーボダイエット」「アトキンス式ダイエット」「低インスリンダイエット」などとさまざまな名称で、糖質制限はブームを起こしてきました。糖質制限には確かな根拠があるし、ダイエット成功者の報告が多数あります。減量法としてはすばらしいでしょう。

 

 ただし、出産直後の女性については、糖質制限で心身の健康を損なうかもしれません。『マタニティ・ブルー』(誠信書房)では、糖質が不足することで産後うつが引き起こされる可能性があると報告されています。

 

 さらに、スウェーデンでは授乳期の女性が糖質制限によって命の危機に陥り、救急搬送されたと過去に報道されていました。

 

 早く元の体重に戻りたいと、産後すぐにダイエットに取り組む女性はたくさんいます。しかし、糖質の摂取量を減らし過ぎれば心のバランスを崩し、命の危険さえ伴うかもしれません。

 

過剰な糖質制限

「自然の抗うつ剤」が効かなくなる

 

 『マタニティ・ブルー』の著者は、イギリスの婦人科医であるキャサリーナ・ダルトン医師(1916-2004年)。

 

 ダルトン医師は、1953年にPMS月経前症候群)に関する医学論文をイギリスで初めて発表。PMSおよび産後抑うつ症に関する世界的な権威であり、それらの治療・研究によってチャールズ・オリバー・ホーソンBMA賞、アップジョン・フェローシップ、シャーロット・ブラウン賞、ロイヤル・フリー・ホスピタルからのカレン賞、ロイヤル・カレッジ・オブ・ジェネラル・プラクティショナーズからの英国片頭痛協会賞などを受賞しています。

 

 「抑うつ症」とは、気分が沈み、意欲がなく、悲しく不安で絶望的になっている精神状態です。この記事では産後抑うつ症を「産後うつ」と表記します。

 

 産後うつには、果てしない消耗、不合理ないらだち、時間や場所がわからなくなる失見当識、自分の子どもへの拒絶、そして母親の自殺が含まれています。

 

 『マタニティ・ブルー』では、500人の妊婦を対象に産後うつの調査が行われたことが紹介されています。そして500人中7%の母親が重篤産後うつになり、その特徴が「妊娠中にはなやぎ、幸福と生気に満ちあふれた女性」だったそうです。

 

 妊娠期間には全く問題がないと思われていた女性たちが、重い産後うつに陥ってしまったのです。エネルギッシュで明るい人だから大丈夫と安心してはいけません。

 

 1985年にサンフランシスコで行われたマルス学会の大会で、産後うつが3カ月後に発症するタイミングとして以下のものが挙げられていたと『マタニティ・ブルー』で記述されていました。

 

○授乳をやめたとき

○月経が再開されるとき

○ピルの服用を始めたとき

○夜勤の仕事を始めたとき

○体重を減らすためのダイエットを始めたとき

 

 注目すべきは5番目のダイエットです。

 

 どうしてダイエットで糖質の摂取量が減ると、産後うつになりやすいのでしょうか。

 その答えは女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)にあるとダルトン医師は説明しています。妊娠中の女性は、血液中のプロゲステロンが通常の50~100倍と高い数値で見られますが、分娩後数時間で低下。これほど激しいホルモンの変動で、体が混乱しないほうが不思議です。

 

 血液中のプロゲステロンは、プロゲステロン受容体の働きで細胞の中に運ばれます。このとき、細胞内の糖(ブドウ糖)が欠乏していると、プロゲステロン受容体はプロゲステロンではなくグルココルチコイド(糖質コルチコイド)というホルモンを細胞に運び込もうとするのです。

 

 プロゲステロンは自然の抗うつ剤と見なせると、ダルトン医師は語っていました。理由は、プロゲステロンはモノアミン酸化酵素の形成を阻止する働きをするからです。

 モノアミンとはドーパミンノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニンヒスタミンなどの神経伝達物質の総称。ドーパミンは「やる気ホルモン」、セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれています。「やる気ホルモン」「幸せホルモン」の働きを失わせる酸化という化学反応を、プロゲステロンは起こりにくくするのです。

 

 過剰な糖質制限で、自然の抗うつ剤であるプロゲステロンが細胞に運び込まれなくなることが、産後うつを招くメカニズムの1つと考えられています。

 

「あなたのままでいい」という

温かいメッセージを送ってほしい

 

 スウェーデンでは産後に糖質制限を続けていた女性が突然倒れ、命の危険もあったことが、症例報告のオンライン・データベース『Journal of Medical CASE REPORTS』2015年10月1日付で発表されました。

 

 患者は、産後10カ月の息子を母乳で育てている32歳の女性。吐き気と嘔吐、手足の震え、筋肉のけいれん、動悸といった急激な体調の異変を訴えて病院に救急搬送されました。

 

 彼女は摂取する炭水化物の量を1日当たり20g未満にするなど、糖質制限を続けていたのです。体重は4kg減りましたが、体調は著しく衰えていったといいます。

 

 彼女を診察した医師は、体液が酸性に傾く「ケトアシドーシス」の状態で、昏睡して命を落としていたかもしれないと説明。患者の女性は入院3日後にケトアシドーシスから抜け出せたそうです。

 

 国は変わって台湾では、産後すぐに薬を使ってダイエットに取り組んで突然死した女性の例が報告されていました。洋の東西を問わず、産後の無理なダイエットは危険性が高いといえそうです。

 

 日本だと「ママでもアイドル」の「ママドル」が多数出現。「ママでもキレイ」「ママでもスリム」「ママでもキャリアウーマン」といった活躍は喜ばしいことですが、妊産婦に過剰なプレッシャーを与えていないでしょうか。

 

 産前産後のホルモン変動などの知識を女性たちに伝えるとともに、「キレイ・スリムでキャリアがあるママドルになる必要はない。あなたはあなたのままで魅力的」といった温かいメッセージを送ることも、産後うつを防ぐために大切です。

 

 

●参考文献

『マタニティ・ブルー』キャサリーナ・ダルトン 誠信書房


New mother nearly DIES from a low carb diet: 32-year-old developed life-threatening condition after ditching bread, rice and pasta while breastfeeding

http://www.dailymail.co.uk/health/article-3262230/New-mother-nearly-DIES-low-carb-diet-32-year-old-developed-life-threatening-condition-ditching-bread-rice-pasta-breastfeeding.html

 

終末期での「もっと長生きしたい」という思いと「人は死ぬ」という現実を埋めるスピリチュアルケア

ある健康食品を開発した、超有名大学の男性客員教授(当時)を取材したときのこと。

彼は高齢者専門病院の協力を得て、自分の商品を高齢者に摂取してもらい、その様子を動画で撮影していました。

 

動画では、寝たきりになって手足が拘縮し、自分で食事が取れず、お尻などに褥瘡ができている高齢者たちのベッドのそばで、彼は「元気を出してください」と声をかけていました。

健康食品を摂取し始めて2カ月後、高齢者たちの関節が少し動かせるようになった様子(ただし自分では動けず、看護師にされるがままの状態)を眺めながら、彼は満足げに効果を解説……

 

このような内容でした。

 

彼は健康食品の効果を動画で伝えようとしたわけです。しかし、彼の思惑とは別に「長生きすることにどんな意味があるのだろうか……」と考えさせられる内容にもなっていました。

 

『大往生したけりゃ医療とかかわるな 』(中村仁一、幻冬舎新書)や『日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか 』(久坂部 羊、幻冬舎新書) といった終末期に関する本には、老後に医療に頼るリスク、つまり「不本意な長生き」について詳しく説明されています。『大往生したけりゃ医療とかかわるな 』は大ベストセラーとなりました。

 

自力で動けなくなったら、今生は終わりとしたい。また、たとえ終末期ではなくても高齢期において、自力で動けなくなるリスクが高いのなら、心肺蘇生は受けたくないから救急車は呼ばないでほしい……

こうした考え方が、40~50代に広まりつつあるようです。

 

 

しかし、もうすぐ死を迎える高齢者には、「たとえ終末期であっても、まだ生き続けたい」と願う人は少なくないようですね。彼らにとって「死は敗北」。決して受け入れられるものではない様子でした。

 

 

最近、ホスピスに足を運ぶ機会があったのですが、看護師は死を迎える人に自ら働きかけようとはせず、静かに寄り添っているという印象でした。ただただ見守り、患者が困っていることにそっと手を差し伸べています。

お見舞いに来る人の中には「もっと治療をしてほしい」と要望を述べる親族もいますが、ホスピスとはそのような場所ではなく、患者も望んでいないと説明しているようです。また、「ガサガサと音を立てるビニール袋を持ち込まないでください」などと、看護師がお願いするケースもあるとのこと。「死とは何か」「ホスピスとはどのような場所であるべきか」という哲学をスタッフが持っていることを感じられました。

私が訪れたホスピスキリスト教系でした。やはり、「死」に対しては「霊性」「高次の精神性」「伝統宗教」といったスピリチュアルな知識を持つ必要があると考えた次第です。

池上彰の宗教がわかれば世界が見える』(池上彰、文春新書)の帯に「宗教は『よく死ぬ』ための予習です。」とコピーがあり、前述の中村仁一医師も終末期の宗教のあり方に言及していました。

 

死の不安におびえるのが人間というものだとしたら、それにこたえられるのは「永遠に健康に、永遠に美しく、永遠に元気に」といったアンチエイジングの商業的文句ではなく、太古の時代から人間がすがってきたスピリチュアルケアではないでしょうか。

 

 

成長や老いとともに変化し続ける自分の体を受け入れ、自分らしく人生を全うさせる準備を重ねていくために、スピリチュアルケアを私たち人間は大事にしてきたように思っています。

息を吐いて、吸う。これが最高の健康法

深呼吸で
心身が緊張する!?

25年にわたってさまざまな健康情報を集めてきましたが、けっきょくは息を吐いて吸うことがいちばん効果的な健康法だと私は思います。

 

「えっ、そんな簡単なことが!?」と怪訝に思われるかもしれませんが、実は呼吸は簡単ではありません。

案外、深く呼吸する方法を知らない人は多いものなのです。

 

とても印象的だったのは、ある総合病院の耳鼻咽喉科医師の深呼吸に関する解説。

 

彼が診察した経験では、耳鳴りやめまいなど、症状を訴えて受診する患者さんの多くが、自律神経が乱れていたのだそうです。

自律神経は、私たちの意思とは無関係に、血流や内臓の動きなどをコントロールしています。

自律神経には、交感神経と副交感神経があります。

緊張・活動のときに優位になる交感神経と、弛緩・休息のときに優位になる副交感神経が、絶妙にバランスを取って、体の働きはコントロールされているのです。

 

余談ですが、自律神経について「交感神経と副交感神経がシーソーのようにバランスを取り」や「交感神経と副交感神経が拮抗して」などと表現されることが多いですね。

しかし、自律神経を研究してきた医師や大学名誉教授の話では、交感神経と副交感神経は力を張り合っているわけではないようです。

「仲のよい夫婦のような関係」と、ある医師は表現していました。

様々な解説がされているということは、自律神経については実はわかっていない部分のほうが多いということです。

 

現在では、自律神経の働きや呼吸の深さなどを計測できる機器があるようですね。

耳鼻咽喉科医師は、患者さんの自律神経や呼吸を計測し、症状の強さなどとの関連について調べていました。

 

そこでわかったのは、「ふだん浅く呼吸している人が深呼吸しようとすると、交感神経が高まる」ということでした。

 

深呼吸は心身をリラックスさせ、副交感神経を優位にするなどと一般に言われています。

しかし、呼吸が浅い人については逆効果になる可能性が高いのです。

理由は、呼吸が浅い人は胸で呼吸をしがちで、息を深く吐いたり吸ったりしようとすると肩が上下するなど力んでしまいます。

言い換えると、おなかで深く呼吸をする体ができていなければ、深呼吸で緊張し、交感神経がますます高まるということです。

 

深く呼吸ができるよう
体を整える

「ヨガでは呼吸が重視されている」と言われていますが、厳密にはちょっと違うようです。

 

体をねじったりひねったりしてポーズを取ることを「ヨガ」と呼んでいますが、ポーズを取るのは「アーサナ」と言って、ヨガの1段階に過ぎないとのこと。

このことは、“ヨーガ行者の王”と呼ばれている男性と、ヨガの指導者でもある耳鼻咽喉科医師から聞きました。

ヨガには8つの段階があるそうです。

最初の段階は、ウソをついたり、暴飲暴食したりしないこと。

次の段階は、感謝し、努力すること。

3つ目の段階が、アーサナ

さらに上の段階が、呼吸とのこと。

 

「ウソをつかない」という最初の段階がとても難しいのではないかと思ったのですが、それはさておき、ポイントは、アーサナよりも呼吸のほうが1段階上にあるということ。

体が整った段階で、ようやく呼吸法に入れるのです。

 

満腹の状態だと、深く呼吸をすることが難しくありませんか。

また、腹筋が弱ければ、深く呼吸をできません。

 

逆を言えば、深く呼吸していると腹八分目で満足できて、腹筋も鍛えら、姿勢がよくなります。

ちなみに、ブレサリアンと言って、食べ物を摂取せずに呼吸だけで生活する人もいるようですね。

知人の話では、ブレサリアンのお坊さんが「うっかり食事をしたせいで、元気が出ない」と言っていたのだとか……。

不食の境地は置いておいて、単純に深呼吸すれば、健康効果が現れるわけではないということは耳鼻咽喉科医師の研究でわかっています。

呼吸を簡単・大ざっぱにとらえないで、どうすれば呼吸が深くなってどんなときに浅くなるのか、正直だと深くなってウソをつくと浅くなるのか、感謝をすると深くなって不平不満をこぼすと浅くなるのか、自分自身で意識することが、実は最高の健康法なのかもしれません。

身近な人が亡くなった後は忙しくなる

今回は、「人が亡くなった後、残された人にはどんな仕事が残されているのか」を説明する本を紹介します。

ベストセラーにもなった『身近な人が亡くなった後の手続のすべて』(児島 明日美 ほか、自由国民社)。
類書も数多く出版されました。

 

これらを読むと、「自分は自分の力だけで生きている」「自分の命は自分の勝手に扱ってもよい」とは、とても思えないのではないでしょうか。
煩雑ともいえる亡くなった後の手続き。日本に住む私たちはさまざまな制度に守られていて、多くの人や物がかかわって生きているのです。
私たちはこの世にポンと生まれたのではなく、両親にはその両親が、そのまた両親がというように、大昔から今までつながっていることが、戸籍を探してさかのぼる作業で実感できるでしょう。

以下は、『身近な人が亡くなった後の手続のすべて』の内容ではなく、「知恵の木」で独自に調べた手続きです。

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亡くなった後の手続き
1.直後行うこと
□医師が作成する「死亡診断書(死体検案書)」を受け取る
  通常、死亡診断書は死亡が判明した日の翌日までに交付される。不慮の事故などで死亡した場合は警察に連絡し、監察医が死体検案書を交付する。死亡診断書、死体検案書は、後に保険や年金の手続きなどで必要となるので、スキャンしておく。

2.7日以内に行うこと
□死亡届を市区町村役場に提出
□火葬許可申請書を市区町村役場に提出(死亡届の提出と引き換えに取得)
□埋葬許可書(火葬場で押印、交付)
  納骨の際に墓地の管理者に提出
□遺体の搬送(安置場所を決める)
□葬儀・納骨の手配
  「喪主や世話役の選任」「日時や場所」「葬儀内容」などを打ち合わせる。
□近親者への連絡
□年金受給権者死亡届の提出
  社会保険事務所、または市区町村の国民年金課に年金証書および除籍謄本を持参。日本年金機構に個人番号(マイナンバー)を収録している人は、原則として、「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略できる。
□未支給年金の請求
  年金事務所や年金相談センターに、未支給(年金・保険給付)請求書、年金受給権者死亡届(報告書)を提出。
  必要な物:亡くなった人の年金証書、死亡診断書、亡くなった人と請求者との身分関係を証明できる書類(戸籍謄抄本)、亡くなった人の住民票(除票)と請求者の世帯全員の住民票、受け取りを希望する金融機関の通帳
□金融機関への連絡

3.14日以内に行うこと
□世帯主の変更
  市区町村の戸籍・住民登録窓口で、届出人の印鑑と本人確認できる証明書類を持参。
国民健康保険の資格喪失の手続
  75歳以上ならば「後期高齢者医療資格喪失届」を、死後14日以内に故人が住んでいた市区町村役場へ提出する。
  必要な物:保険証、死亡を証明する戸籍謄本、世帯主の印鑑、本人確認資料

4.できるだけ早く行うこと
□不動産の所有権移転登記の手続き
自動車保険(自賠責・任意保険) 車輌の名義変更
□電気、ガス、水道、電話、インターネット、NHKの名義変更
□NTT、携帯電話の解約
□クレジットカードに関する手続き
□キャシュカードの返却
雇用保険受給資格者証の返還(1カ月以内)

5.落ち着いたら行うこと
□亡くなった方の所得税の準確定申告・納税<税務署>(4カ月以内)
□葬祭費・埋葬料の請求申請<市区町村役場>
  葬儀を行った喪主などが、葬儀にかかった費用の領収書や印鑑を市区町村役場の窓次に提出
□高額療養費の支給(診療月翌月~2年)
  高額療養費支給申請書を市区町村の窓口に提出。病院に支払った領収書、亡くなった方との続柄がわかる戸籍謄本が必要。
□相続の放棄(3カ月以内)
相続税の申告・納税(10カ月以内)
※税務署に相談するとよい。
□生命保険金の請求(2年以内)

6.相続手続きに必要なこと
□法定相続情報証明制度 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00284.html
□証明書の取得
  必要な物:亡くなった方の戸籍(除籍)謄本<本籍地のある市区町村役場>、亡くなった方の出生までさかのぼる除籍・改正原戸籍謄本<本籍地のある市区町村役場>、相続人の戸籍謄本、亡くなった方の住民票(除票)の写し、相続人の印鑑証明書

『女の子のからだの知恵』コラム 他人よりも自分の気持ちを大切に

 周囲の人から認めてもらいたい。他人からの無視に耐えられない。みんなの評価がとても気になる……
 こうした女の子は、笑顔を絶やしません。勉強もまじめにがんばるし、責任感が強く、オシャレにも余念がないし、周りには優しく、気配りもできるでしょう。
 もちろん、笑顔も気配りもすべてすてきなことではありますが、自分の気持ちを置いてきぼりにしていませんか。

 嫌いな人にも笑顔を向けるのは、ただの演技。しかし、演技をすることが癖になり、嫌いな人でも好きだと知らぬ間に思い込もうとして、自分の感情がわからなくなる危険性があるのです。
 言い換えると、自分で自分にウソをついている状態。当然、ストレスがたまります。
 次の項目で当てはまることはありませんか。
□欲しくない物でも、たくさん買ってしまうことがある
□理由はよくわからないが、とても疲れてしまう
□「私はダメだ」と思ってしまいがちだ
□「嫌です」と言えない
□まじめではない人に、猛烈に腹が立つことが多い
□突然、キレることがある
□誰かが怒っていると、「私のせいかもしれない」と不安になる

 一つでも当てはまれば、自分の感情がわからなくなって、本当はつらい状態に陥っていると考えられます。

 思春期で勉強よりも大事なのは、自分と他人の間に境界線を引くこと。たくさんの人から「いいね!」をもらうよりも、自分が楽しめることのほうが価値があるのです。
 そしてもう一つは、演技上手になること。「とりあえず笑っているけど、実は嫌い」「とりあえずまじめな態度を取っているけど、私にとってはどうでもいい」と、表面的な態度と本心とを分けましょう。

 今、周囲にいるのは学校の友達や教師、親、きょうだい、親戚ぐらいではないでしょうか。日本の、とある県の、とある町の、とある丁目という、とても狭い世界。「狭い世界での常識が、広い世界ではとんでもない非常識」ということは多々あります。そんな狭い世界で認められようとして、心をすり減らすのはもったいないこと。

 広い世界にはさまざまな文化があり、「あなたらしさ」を認め、評価する人は必ずいます。ですから、自分の気持ちを置いてきぼりにしないでください。

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『女の子のからだの知恵』おわりに 女の子のからだの知恵を使おう

○頭と目を休めて、からだの声を聞こう

 今は情報が簡単に手に入るので、頭でっかちになりがち。
 しかし、本当の自分自身についてはネットや友達の意見ではわかりません。

 自分のことは、自分のからだが知っているのです。

 勉強や友達とのおしゃべりを少し休んで、心地いい場所で過ごしてみましょう。自分が本当は何が欲しいのか、ふと気づくかもしれません。

○からだを思いっきり使うことも大事

 イライラしたり、悩んだりしているとき、じっと動かないでいるのではないでしょうか。
 人間という生き物は、からだを動かさなければ脳も働かないと、脳研究者の池谷裕二氏が語っていました。

 エネルギーがたまっているのなら、イライラで無駄使いせず、目いっぱいからだを動かすことに使いましょう。
 運動が苦手でも、歩いたり自転車に乗ったりすることはできますよね。からだを使って遠くに出向くことで、自分の中に新しい発見があることは珍しくありません。

 からだの声が聞こえてくると、本当に自分がやりたいことも見えてきます。ぜひ、からだを大切にして、自分らしい人生を進んでください。

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『女の子のからだの知恵』女の子の悩みQ&A

○ムダ毛

 小さい頃にはあるかどうかもわからなかった体毛が、急に目立ち始める年頃です。
 男の子だと、小学5年生ぐらいで鼻の下の産毛が濃くなる場合があります。そんな女の子もちらほら見受けられます。
 やがて腕やすね、わき、おまたと、太い毛が生えてきて、ムダ毛の存在が気になってしまうかもしれません。

 ムダ毛が目立つようになるのは、成長している証拠。医学的にも、また私自身も、年齢を重ねるとムダ毛が目立たなくなっていきます。

 ムダ毛の処理に最適なのは、ハサミ。長い毛をハサミでカットするだけで、目立たなくなります。
 カミソリや毛抜き、除毛クリームなどを使用すると、肌が荒れる可能性があります。カミソリはムダ毛だけでなく肌の表面も削るし、毛抜きで抜いた後に菌が侵入してぽつぽつと吹き出物ができる可能性があるし、クリームでかぶれることは珍しくありません。
 皮膚科医に「肌への負担が少ないムダ毛処理法は何ですか」と尋ねたときに、電気シェーバー(電気カミソリ)が勧められました。電気シェーバーは肌の表面に出ているムダ毛だけをそり落とし、通常のカミソリよりも肌への接触が少ないのだそうです。

 「ムダ毛が憎い!」と抜いてしまうのはお勧めできないし、レーザー脱毛については何回も施術を受ける必要がありお金がかかります。ムダ毛には成長期と休止期があり、肌の表面に出ていないムダ毛が後から伸びてくるからです。

 ところで、大豆や大豆製品に含まれているイソフラボンという成分を摂取すると、ムダ毛が目立たなくなるという話があります。この観点で製品化されているのが豆乳ローションです。
 イソフラボンによってムダ毛が薄くなるかどうかについて、個人差が大きいようです。私自身は、まったく効果を感じられませんでした。
 からだによいと言われている食品でも、食べ過ぎるとアレルギーを発症することがあります。

 ムダ毛が気になるのはとてもよくわかるのですが、引き抜いたり、「効く」という食品を食べ過ぎたりすると、思わぬトラブルを招くもの。ハサミや電気シェーバーを使って、ケアするように心がけてください。

○ニキビ 

 これは多くの皮膚科医が指摘しているのですが、顔を洗えば洗うほどニキビは悪化します。

 肌の表面に出てくる皮脂は肌を守るために重要な役目を果たしますが、過剰に分泌されると炎症が起こる可能性があります。
 肌にいるアクネ菌という細菌は、皮脂や汗をエサにして弱酸性の脂肪酸を作り出しています。それによって肌が弱酸性に保たれて、雑菌が繁殖しにくい状態になるのです。
 しかし、皮脂が多すぎると、アクネ菌の持つリパーゼという酵素が皮脂の分解を促し、遊離脂肪酸という物質が作られます。遊離脂肪酸が皮膚を刺激し、皮膚が腫れて毛穴が小さくなります。その結果、毛穴に皮脂やアカなどが詰まって「角栓」ができます。毛穴がふさがると、中でアクネ菌が増殖して炎症を引き起こします。こうしてニキビができるのです。
 皮脂の分泌量は、年齢とともに変化します。生まれたばかりの頃は活発に皮脂が分泌されますが、生後2カ月ぐらいで減少。その後、分泌量が増えていき、20~30歳台をピークに減少していきます。

 皮脂は年齢や性別で量が異なりますが、次の条件で増えてしまいます。
1 ストレス
 体がストレスを感じると、それに対抗するためにコルチゾールという抗ストレスホルモンが分泌されます。コルチゾールには男性ホルモンの分泌を増やす作用もあるので、皮脂の分泌が増えます。
2 洗い過ぎ
 石けんなどで何度も顔を洗うと、体は皮脂の不足に対応するために、皮脂を過剰に分泌するようになります。

 洗い過ぎの問題は、肌のバリア機能を壊す点にもあります。バリア機能が壊れたことを体が察知してサイトカインというたんぱく質が分泌されると、バリアを高めようと角層が厚くなったり、角層の細胞がくっつきやすくなったりします。こうして、角栓ができやすくなるのです。
 皮脂やアクネ菌を取り除こうとして顔を洗い過ぎると、逆効果になるわけです。

 ちょっと面倒くさい話をしましたが、洗ったところでニキビがなくならず、むしろ増えると考えてください。

 顔を洗うときは石けんや洗顔料を使わないこと。そしてタオルでゴシゴシとこすらないこと。
 水で顔を洗い、タオルをそっと押し当てて水気を取り除くようにしましょう。

 なお、食品とニキビとの因果関係はありません。「チョコレートを食べるとニキビが増える」は都市伝説のようなものだと皮膚科医が話していました。どうやら、甘いチョコレートをバクバク食べたくなるほどストレスがたまっていることが、肌に悪影響を及ぼしているようです。

 ニキビができたときには、勉強や人間関係など、ちょっと心を見つめ直したほうがよさそうですね。

○におい

 自己臭恐怖症(自臭症)について、耳にしたことはありますか。
 実際に体臭や口臭はないのに、「自分のにおいのせいで周りに嫌われているのではないか」などと感じてしまう症状です。きっかけは「臭い」と言われたことや話している相手が鼻を押さえたことなど。本人が深刻に受け止めて自分のにおいに過敏になるケースが多いようです。
 自己臭恐怖症が悪化すると、精神科での治療が必要になります。においを気にしすぎると、心が病むということ。

 実はからだから出てきたばかりの汗は臭くありません。時間がたつことで皮肌の細菌が汗を分解して、においが発生するのです。
 からだが臭いのではなく、時間がたった汗が臭いのです。

 ですから、においを気にして体を何度も洗っても、制汗剤や消臭スプレーを何度も振りかけても、意味はありません。洗い過ぎや化学物質によって肌のバリア機能が落ち、肌荒れやかゆみを引き起こすことがあるので、むしろ要注意。
 においが気になるのなら、汗を吸った衣類や靴を洗いましょう。

 においを消す効果があるとして、ある大手化粧品メーカーがドクダミの成分を挙げていました。からだのにおいがどうしても気になるのならば、その部位にドクダミ茶をかけましょう。

 また、今井龍弥医師は、ミョウバン水を含ませたハンカチやタオルでからだをふくことを勧めていました。
 足のにおいに対しては、靴の中にシナモンパウダーを2~3回振り入れるといいそうです。
 口臭には、ヨーグルト歯磨きを試してください。

 デリケートゾーンのにおいは、疲れやストレスと大いに関係しています。
 下着が汚れたり、におい発生したりして女の子を悩ませる「おりもの」。膣からの分泌液や外陰部の粘膜などが排出されて混ざり合ったものです。ですから、健康な状態でもおりものが出るのは当たり前。恥ずかしがる必要はありません。
 しかし、疲れていたりストレスがたまったりすると、おりものの量が増えるだけでなく、からだを病原体から守る免疫力が落ちて膣に炎症が起こる可能性があります。こうしてデリケートゾーンからにおいがしたり、かゆくなったり、白いおりものが出たりするわけです。
 においなどがするからといって、デリケートゾーンを石けんで洗わないでください。乳酸を作り出して腟内を強い酸性に保ち、細菌感染を防ぐ「デーデルライン桿菌」という乳酸菌を減らしてしまうからです。

 対策として、ヨーグルトの透明な上澄みである乳清を、おふろ上がりや寝る前にデリケートゾーンに塗ることを今井医師は勧めていました。乳清には乳酸が含まれているからです。
 そしてきついパンツははかないこと。トランクスのように通気性のよい下着を身に着けましょう。

[今井医師考案のミョウバン水]
1 焼きミョウバン50g(生ミョウバンは75g)を水道水1.5リットルで溶かし、涼しいところに2~3日置いて「ミョウバン水原液」を作る。ミョウバン水原液は涼しい場所で保管する。
2 ミョウバン水原液を20~50倍程度の水道水で薄め、ミョウバン水の出来上がり。ミョウバン水は冷蔵庫で保存する。
※肌が弱い人は50倍に薄め、刺激が強ければさらに薄める
3 ミョウバン水でタオルやハンカチを濡らし、汗をそっとふき取る
※濡らしたタオルやハンカチを密閉袋に入れて持ちあること便利
※かぶれや痛みが生じたら水で洗い流す

[今井医師考案のヨーグルト歯磨き]
1 寝る前に、通常の歯磨きをする。
2 歯ブラシの先端にヨーグルトをつけて、葉や歯茎に塗る。
3 うがいはせず、そのまま寝る。

○痛み 

 女の子のほうが男の子よりも、さまざまな痛みを感じやすいようです。そして痛みは「からだリズム」の影響も受けています。

 痛みというものは、とても厄介です。
 見た目だけでは、痛みがあるかどうかがほかの人にはわかりません。だから周囲に理解してもらいにくいのです。
 痛みで絶えず緊張してイライラし、疲れているのに夜になっても眠れません。
 そして病院に行っても、検査で原因が特定できないことが多いのです。

 すべての痛みに効果的なのが、「湯たんぽ」。班目健夫医師によれば、痛みの原因は血流にあります。からだを温めて血流を促すことが大事なのです。

[班目医師考案の湯たんぽ療法]
1 容量が2リットル以上の湯たんぽに、80℃以上のお湯を入れる。沸騰したお湯が望ましい。やけどに注意。
2 おなか→太もも→お尻→二の腕の順番で湯たんぽを移動させる。
※1つの部位につき、湯たんぽで温めるのは3~10分。汗をかく前に次の部位に湯たんぽを移動させる。

○イライラ・不安定
 イライラしたり気持ちが不安定になったりしている人のほとんどが、わきが縮こまって、呼吸が浅くなっています。ですから「わき伸ばし」を試してください。「イタた」と感じたら、呼吸が浅いからイライラするのだと自覚するといいでしょう。

 もう一つは、他人に害を与えない範囲で、自分のやりたいことだけやってください。
 勉強をやめたってかまわないのです。後で自分が困るだけで、親も教師も本当は無関係。ただし、他人の勉強を邪魔してはいけません。
 大食いもそう。太っていようがやせていようが、他人は本当は無関係。
 自分のやりたいことだけやっていると、イライラすることはないはずです。「他人のためにやってあげている」という気持ちがあるから、つらくなるのです。

 何が本当に自分のためになるのか、思春期の女の子たちには一度突き詰めて考えてほしいと思います。

[わき伸ばし]
1 直立して両足を腰幅に開く。両手は力を抜いて体のわきに下ろす。
2 右手を高く上げ、右わきをゆっくりと伸ばしていく。自然なリズムで呼吸しながら、ウエストの右側が伸びていると感じたら、そのまま30秒キープ。
3 同様に左わきも伸ばす。

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