【手相マッサージ】人間の根っこの部分にアプローチする方法の一つが手相

悲観的で注意深い人類が

私たちの祖先

 人間の長い歴史を振り返ると、今の日本のように安全で便利な時期はほんのわずかです。

 今から600万年前から400万年前までの間に、人類は誕生したと言われています。古代文明が生まれたのは5000年ぐらい前のこと。産業革命が起こった200年ほど前から、世界人口は爆発的に増えました。人口が増えたのですから、人間が命を落とさずに済むような安全な時代になったのでしょう。

 そう考えると、人類の600万年という歴史の中で、安全に暮らせるようになったと考えられる期間は、たったの3%。つまり、人類はほとんどの時間を危険と隣り合わせで、厳しい自然環境の中で動物・細菌といった敵と戦いながら生活したのです。

 人類は当然用心深くなりますし、いつも最悪の事態を想定して行動してきたでしょう。逆を言えば、のほほんと楽観的な人間は早くに命を失い、悲観的で注意深い人間だけが生き延びられたわけです。

 

怒りなど悲観的な思考回路で

他人と争うのが人間の歴史

 人間のデフォルト(標準状態)が悲観的な思考回路で、そのままにしておけば現実を見ずに将来の不安にとらわれてしまいます。悲観的な思考回路で生まれる不安や心配、イライラ、怒りなどの感情で心を病み、他人と争って、挙句の果てに戦争を起こしてきたのが、人間の歴史なのでしょう。

 不安や心配、イライラ、怒りなどの感情は表面的な意識で、奥底では野生の動物たちと同じように「もっと生きたい」「子孫を残したい」という強い本能があるのではないでしょうか。本能とともに、自分が生きるため、そして弱い存在である子どもや孫を守るために他者と共存したいという、本質的な欲求があるのかもしれません。

 

根が腐ると木が枯れるように

潜在意識を無視しても健康になれない

 表面的な意識にある悲観的な思考回路をストップさせて、潜在的な意識に近づくという観点は、数多くの健康法や医療に取り入れられています。

 過去に私が取材した医師は、人間を木にたとえると、幹や枝葉が表面的な意識や心、体に当たり、根っこが潜在的な意識に当たると説明していました。根が腐れると、木は枯れます。根から養分が吸い込まれなければ、枝葉は茂りません。

 潜在的な意識にアプローチしなければならないという話から、亡くなった父親を私は思い出しました。肺がんを患っていても長時間ドライブできるほど活動的でしたが、抗がん剤治療で心を病んで自ら命を絶ちました。

 人間の根っこの部分にアプローチしなければ、活動的であっても、病院で治療を受けても、人間は生きていけないのではないか…… 医師を取材しながら、私はそう思いました。

 私の知り合いは、持病を克服したいからとさまざまな健康法に取り組んでいました。ある薬草がいいと聞けば薬草茶を飲み、「効く」という噂の水を取り寄せ、断食もしていました。また、明るく振る舞おうと努力していましたし、「ありがとう」などと前向きの言葉を積極的に使って、ヒーリングも受けていました。しかし、やっていることが空回りしている印象で、持病が改善している様子はありません。

 この知り合いの、なんとも不自然な姿から、不安やイライラ、怒りといった悲観的な思考回路を、これまた表面的なポジティブ思考で止めるのは難しいのではないかと思うようになりました。

 

手のひらには

隠れた問題が示されている

 言葉を使って、思考・分析することはもちろん大事です。ただ、それだけでは十分ではないようです。プラスして、人間の根っこの部分に当たる潜在的な意識にアプローチする健康法も取り入れる必要があるでしょう。

 こうした健康法の一つが、リフレクソロジー(反射療法)です。

 手足を刺激して体調を改善させるリフレクソロジーは、健康書や雑誌でよく紹介されてきました。手足には、自覚している不調だけでなく隠れた問題も現れていると言われています。例えば、足の土踏まずをもんだときにジャリジャリしたしこりがあるときは、胃腸に問題があり、本人は平気と思っていても内臓にはダメージがたまっていると考えられています。

 私が25年にわたってさまざまな情報を扱ってきた経験で、手のひらからは短期的な不調、足の裏からは長期的に蓄積した不調がわかるととらえています。食べ過ぎや飲み過ぎが続くと手のひらの親指のつけ根の膨らみに青い血管が浮かび上がり(怒張)、それで胃腸や肝臓にダメージが与えられると足の土踏まずにしこりが現れるという関係です。

 手のひらで体調や潜在的な意識を知るには、手相が大きな手掛かりとなります。これは、ある鍼灸師から託された資料に書かれていました。

運勢は体調の影響を大きく受けます。生命線のカーブが大きいほど長命だと手相で言いますが、手のひらの親指のつけ根の膨らみは胃腸と対応していて、消化力が弱い人は短命になるわけです。

 ちなみに、感情線や頭脳線も循環器系・神経系と対応しているのだそうです。感情線が乱れていれば、占いだとほれっぽいとか束縛したがるなどと判定します。体の面では血圧に異常があり、精神的に不安定な状態と考えられるのです。

 手のひらで注目したほうがいいのは、もともとの線の長さや丘の豊かさよりも変化。細かいシワが増えて線がぼやけてきた、色がまだらっぽくなってきたなどは、自覚していない心身の変化の現れ。手のひらを見る習慣をつけることで、潜在的な問題にも気づける可能性があるのです。

 

骨盤冷え取りプロジェクトよ、再び!

「理想の『女性用トランクス』を作ります!」と宣言したのが2016年の8月。

 

きっかけは、小学生の娘が「またがかゆい」「痛い」と訴えたことです。

私が患部を見てみると、真っ赤に腫れています。

「ああ、これは蒸れた状態で皮膚が下着とこすれたのだな」とわかりました。

 

そもそも、女性のパンツ(ショーツ)は理にかなっていません。

陰部は蒸れるし、鼠蹊部は圧迫されるし、健康によくないと思ってきました。

 

娘のために女児用トランクスを探したのですが、どこにも見つかりません。

ですから私が布を買い、ミシンでトランクスを作りました。

娘がパンツの代わりにトランクスをはいて寝るようになったら、かゆみも痛みも2~3日で解消。

「やっぱりパンツはよくない」と確信しました。

 

ついでに私用のトランクスも作ったのですが、糸の始末が下手で使い心地が悪く、こちらは結局捨てることに。

 

それから10カ月後、女性用トランクスの商品開発「骨盤冷え取りプロジェクト」に乗り出しました。

骨盤全体を緩く包み込んで、鼠径部を圧迫せず、蒸れない。

それがどうして「骨盤冷え取り」につながるのかといえば、血行が促されるからです。

パンツのゴムは体にストレスを与えると、「脱パンツ健康法」を提唱する医師も解説していました。

 

加えて、伝統医学に詳しい大学教授に取材したとき、下着を着けずに和服を着て、またの部分を解放することが女性としての身体感覚を取り戻すために効果的と話していました。

身体感覚を戻ってくると、心と体が健康になるのだそうです。

 

さらに、私が尊敬していた鍼灸師の女性が、更年期障害は下着の締め付けで悪化するとも話していました。

そして「更年期の女性はかゆみなどの皮膚トラブルも現れやすいので、下着に注意しなさい」と。

 

以上のことから、理想の女性用トランクスを作ろうと思った次第です。

 

ちなみに同じような趣旨で女性用のふんどしが販売されていますが、これは私には合いませんでした。

年齢のせいでしょうか、数回はいても落ち着かず、こちらも結局は捨てることに。

直接肌に着ける下着というものは、個人によって合う・合わないが大きく違うのかもしれません。

 

「そろそろ更年期だな」という私世代や、更年期の女性向けに、これまで編集者として蓄えてきた知識を商品として形にしたいという欲求が出てきました。

寝るときだけでなく、普段使いできるトランクスを目指していました。

 

 

骨盤冷え取りプロジェクトは、骨盤周囲を圧迫しない下着の開発だけではありません。

トランクスをはくのはマイナス要素を取り去ること。

プラスに働きかけるためには、骨盤の周囲にある筋肉をほぐし、鍛えることが大事です。

 

「ああ、またか」と思われそうですが、何度でも繰り返しお伝えします。

「骨盤ぐるぐる」を実行してください。

 

今後は、骨盤冷え取りに効果的な歩き方をテーマにワークショップを開く予定です。

普段の歩き方をちょっと変えるだけで、体に負担をかけない美しい姿勢で、楽に、そして骨盤周囲の筋肉をきちんと使って歩けるようになるでしょう。

 

トランクスの開発は、関西の会社に持ち掛けたのですが折り合いがつかず、頓挫しました。

しかし、まだあきらめていません!

眠れないほどの発作的でしつこいセキをその場で治した麦門冬湯にまつわる話

夜中に発作的に強くせき込んで、寝るに寝られない日が続きました。

ここで導入した麦門冬湯(バクモンドウトウ)が驚くほどの効果を発揮したので、書き残しておこうと思います。

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「西洋薬がまったく効かなかった激しいセキが、麦門冬湯で治まった」と、私の家族は以前から感心していました。

それで、麦門冬湯を我が家の常備薬にしていました。

 

ただ、熱を冷ましてセキを抑える五虎湯(ゴコトウ)のほうが自分の体質に合っているような気がしていたので、私は麦門冬湯をほとんど飲んでいなかったのです。

私の場合、乾いたコンコンというセキではなく、べっとりとしたタンがのどに絡んで、ゲホゲホと顔を赤くしてせき込むことがほとんど。

体力もあるほうなので、麦門冬湯は違うのではないかと思っていたわけです。

 

しかし、ここ数日に私に起こったセキがあまりにも激しくて、五虎湯がないから仕方なく麦門冬湯を飲んでみました。

結果、夜中の発作的なセキについては著効を発揮!

布団の中でのたうち回りながらセキをしていたのに、麦門冬湯を飲んだらその場でスーッとセキが治まって、気が付いたら眠っていたのです。

 

翌日の夜も、同じ効果が得られました。

こうして「思い込みはいけないな」と反省もしました。

 

■症状が強くなったら漢方薬を飲む

漢方薬のパッケージには「カゼのひき始めに」「1日3回、食前または食間に服用します」などと書いてあります。

しかし、私の飲み方は違います。

 

10年ほど前、三浦於菟医師(当時は東邦大学医療センター大森病院東洋医学科)に銀翹散(ギンギョウサン)について取材しました。

このとき、「1日3回なんて気にしなくていいんだよ。症状が悪化したら飲むんだよ」と聞きました。

銀翹散はのどの腫れを抑える漢方薬

のどが痛くなったら銀翹散を飲むという対症療法的な使い方がよいという話です。

 

三浦医師はひょうひょうとした浮世離れした印象と、真逆のちょいギラギラ感を併せ持つ、不思議な人物でした(あくまでも個人的な意見)

それが逆に説得力を持つというか、こちらは「おもしろいな~」と話に聞き入ってしまったわけです。

以来私は、三浦式で漢方薬を使うようになりました。

 

実際、ゾクゾクと悪寒がするときに葛根湯(カッコントウ)を飲むと、すぐに体が温まって楽に眠れました。

銀翹散についてもしかり。ツバを飲み込むのさえ痛くてつらいときは、食前だろうが食後だろうがすぐに飲むのです。

 

のどなどに潤いを与えてタンが出やすい状態にしたり、セキを鎮めたりする麦門冬湯も、寝る前に枕元に数袋置いておいて、夜中に発作的なセキが始まったらすぐに、何度でも飲むという方式を取りました。

エキス剤はぬるま湯で飲んだほうたよいといいますが、セキが出ているときはそれどころではないので水です。

麦門冬湯は甘みがあるので、口に含んで、ゆっくりと飲み干していきました。

 

ちなみに三浦式は、エキス剤をぬるま湯で溶いてから飲むというもの。余裕があるときは、この飲み方のほうが効果は出ると思います。

 

■体感を重視したほうがピッタリの漢方を選べる

今回のカゼでは、大量にタンが出ました。色は透明だったり、黄色っぽかったり、さまざま。

セキもゴボゴボという音がします。

そのため、見た目的には体が乾燥していません。

 

しかし、手荒れが始まって、のどもかさついている感じはしていたのです。

この状態に、潤してセキを抑える麦門冬湯は合っていました。

漢方薬は、長く飲んで体質改善をするものだなんて、間違っているね。症状に合っていれば、鋭く効くんだよ」という三浦医師の言葉を思い出しました。

 

効くと実感した漢方薬は、連打するように飲む。

治ったら、もう飲まない。

効かない漢方薬は、だらだら飲み続けない。

 

こうしたメリハリが重要だと思います。

なお、上記は10年前の話なので、現在の三浦医師がどのような飲み方を指導しているのかは不明。

皆さんの周囲の薬剤師や医師に話すと「とんでもない!」と怒られるはずです。

 

今回の話はあくまでも一個人の体験。

漢方薬とどのように付き合っていくかは自己責任でお願いします。

 

 

 

○漢方での健康についての考え方

漢方では、正気(せいき:生命力や低抗力)より、邪や病邪(じゃ、びょうじゃ:生体機能を阻害する自然現象や体内に発生した有害物)が勝ったときに病気になると考えてれています。

 

ですから、「邪を避ける」ことと「正気を高める」ことが健康な毎日を送るためのたいせつです。

 

病気の治療では「邪の除去」と「正気の回復」の2つを同時に行います。

 

○漢方でのカゼの分類

外界からの邪には、風(ふう)寒(かん)熱(ねつ)湿(しつ)燥(そう)などがあり、中でも風(ふう)は、常に動き回り、ほかの邪を運ぶといわれています。

 

風に寒が運ばれてきてカゼを引いた場合を風寒型、熱が運ばれてきた場合を風熱型と分類します。

 

風寒型は冬に多いと考えられています。

主な症状は、悪寒、体が冷えることによる関節痛や筋肉痛などです。

治療では体を温める生薬を含む漢方薬を用います。

体の表面から汗とともに邪を追い出す、つまり発汗させて治すわけです。

 

葛根湯、麻黄湯、桂麻各半湯は風寒型に適用で、最初の段階で寒気が強く、汗が出ていないことが絶対条件です。

冬に多い、寒気が強いタイプのカゼに使います。

 

風熱型は春から初夏にかけて多いと考えられています。

主な症状は体の熱感、のどの痛み、冷たい水を欲しがるのどの渇き、布団をはぎたいような状態で自ら汗を出すような高熱です。

治療では熱を冷ます生薬を含む漢方薬を用いて、炎症を抑えます

 

この場合には、銀翹散(ギンギョウサン)などを使います。

銀翹散は健康保険が適用されないため、清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)で代用されることもあります。

 

インフルエンザには、風寒型、風熱型、湿温型などさまざまなタイプがあります。

ただ、風熱型が多く、急激に症状が悪化します。

 

漢方薬の飲み方

漢方薬には煎じ薬とエキス剤があります。

 

エキス剤は煎じ薬から有効成分を取り出したもので、その大半は顆粒状や粉末状の形状です。

 

漢方薬はエキス剤も煎じ薬も、一般的に食事の20~30分前に服用します。

胃が空のときに服用することで胃腸から吸収されやすく、また、その後に食事を摂れば胃腸への刺激も緩和されるからです。

 

エキス剤はそのまま口に入れて服用するのが一般的ですが、できればエキス剤をいったんお湯に溶かして飲みましょう。

胃の中で薬が均等に広がって吸収され、胃への刺激も穏やかになるからです。

 

お湯で溶かすときは、まずエキス剤をカップに入れてからお湯を注ぎます。

エキス剤が2種類以上の場合、一緒に混ぜて溶かしてもいいでしょう。

 

アルミの袋に入った漢方製剤メーカーのエキス剤は、長期の保存に耐えられます。

一方、病院やクリニック、薬局などでエキス剤を分包したものは、保存が難しくなります。

2週間以上保存する場合は、乾燥剤を入れた密閉容器に入れてください。

 

煎じ薬については、煎じる前の生薬は乾燥しているため、1年くらいの長期保存が利きます。

ただ、虫やカビがつきやすい生薬もあるので、密閉したポリ容器やチャック付きのポリ袋などに入れ、冷蔵庫で保管しましょう。

 

煎じた薬液は腐りやすく、夏の高温多湿の状態に置いておくと1日で腐ります。

薬液は冷蔵庫に入れて保存し、その日のうちに早めに服用するのが原則です。

遅くても3日以内に服用するようにしてください。

 

適切な漢方薬が処方されれば、急性の病気なら2~3日で効果が現れます。

 

○漢方と東洋医学

「漢方」も「東洋医学」も、中国発祥で日本古来の医学を表す言葉ですが、言葉が生まれた時代と背景が異なります。

 

中国最古の王朝とされる殷(紀元前15~11世紀)の甲骨文字には、医術の記録があります。

その後、伝説的な医術の名人の教えや経験をまとめた医学書が漢(紀元前202~後220年)の時代にまとめられ、「陰陽五行論」に基づく医学的な理論体系を紀元前後に確立しました。

 

古代中国の医学は、周辺諸国に広がり、日本には今から1500年以上前の紀元5~6世紀(奈良時代)に伝わりました。

 

時代は下り、江戸時代以降に、長崎の出島にオランダ人の医師が来て、オランダ医学が日本に入ってきました。

そこで、オランダ医学と区別するために、従来の医学に「漢方」という言葉が使われるようになりました。

漢方の漢とは、中国漢王朝の漢ではなく、漢民族を指しています。

オランダ医学は、その漢字表記である阿蘭陀から「蘭」の字を取り、蘭方と言われるようになりました。

 

明治になると政府は、西洋化を推し進める富国強兵政策を取りました。

そして明治16年に、西洋医学を勉強した者のみを医師とするという法律を施行しました。

結果、日本で漢方は衰退していきました。

 

明治43年ごろ、ごく一部の医師が漢方の重要性を説き、漢方を学ぶ医師が現れ始めました。

こうして、漢方復活していくのです。

東洋医学は、このころに使われ始められた言葉とされています。

 

参考文献:『週刊朝日 増刊号 漢方2007』、東邦大学医療センター大森病院ホームページ

ラーメンは醤油よりとんこつのほうが太りにくい? 血糖値上昇の新事実

空腹時の血糖値が基準値でも
油断は禁物

「糖化」とは、食事で摂取した糖質と体内のたんぱく質が結びつき、変性して劣化すること。

筋肉や血管、内臓など人間の体の大部分は、たんぱく質でできています。そのため、例えば糖質が血管の細胞のたんぱく質と結合すると、血管壁に炎症が起こりやすくなり、動脈硬化のリスクが高くなります。つまりは血管の老化が進んで、血管年齢が上がってしまうのです。

 

糖化という化学反応の例としてよく登場するのが、トーストした食パン。フワフワのパンをトーストしたら、こんがりと、おいしそうな褐色になります。これも糖化です。
食パンに含まれる糖質とたんぱく質は、焼いて熱を加えられることで結びつき、固く、黒くなります。

糖化が体内で起これば、食パンをトーストしたときと同じように私たちの体も変化します
血液中に余分な糖が増えると、血液の成分のたんぱく質と結合して、全身に酸素を運ぶ役割が果たされなくなります。
肌の糖化が進めば、トーストの黒いコゲと同じように、肌はくすんで、弾力を失います。

空腹時の血糖値が基準値だからといって、油断はできません。血糖値はさまざまな影響を受けて、いつも上下しているからです。

例えば、食後高血糖。食後30分から1時間程度で、血糖値が急上昇する現象です。午前中の仕事が長引いて、空腹の状態で慌ててうどんをかき込むと、食後に血糖値が急上昇してから急降下するという具合に激しく変動するのです。

血糖値を気にしなければならないのは、糖尿病や肥満の人だけではありません。体の内側と外側の若さを保つためにも、血糖値が急上昇しない食事法が大切なのです。

 

その具体的な方法を紹介しているのが、「なごみクリニック」院長の亀川寛大(かめかわ かんだい)医師。亀川医師自身が血糖値コントロールを行って、15キロの減量に成功しています。

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そして、患者さんにも血糖値が上がりにくい食事法を指導しながら、手軽に生活に取り入れられるように血糖値が上がらない外食メニューの調査を行っています。

そのデータをもとに、6月28日に放送された「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系、夜7時58分から)では、双子のお笑いコンビである「ザ・たっち」に食事法を指導。この2人が体を張って検証したのですが、視聴者の予想を裏切るような驚きの結果が出ました。

血糖値が上がりにくい食事法はどっちなのか、ザ・たっちによる検証を紹介しましょう。

 

チーズたっぷりパスタのほうが
食後血糖値が上がらなかった!

 
ザ・たっちの兄はたくやで、弟がかずや。この2人は身長と体重だけでなく、トイレのタイミングもほぼ同じなのだそうです。
たくやとかずやは、食後血糖値を調べるために、まず、24 時間血糖値測定器を装着しました。

そして亀川医師がミッションとして課した外食メニューをそれぞれが食べて、血糖値の変化を調べました。

○ミッション1 ラーメン店でトッピングありとなし
ラーメン店で、弟のかずやはトッピングなし、兄のたくやはトッピングありを食べるのがミッション。たくやのラーメンには、もやしやタマネギといった野菜が山盛りに載せられ、さらにチャーシューが3枚追加されました。たくやのほうが、明らかに食べる量もカロリーも多くなっています。
ところが、食後血糖値はたくやよりもかずやのほうが先に上がっていったのです。

○ミッション2 ハンバーガー店でアイスコーヒーか牛乳か
ハンバーガー店で、ハンバーガーと一緒に飲むドリンクを、弟のかずやはアイスコーヒーに、兄のたくやは牛乳にしました。
すると、食後血糖値はたくやよりもかずやのほうが急激に上がったのです。

 

○ミッション3 パスタ店でトッピングありとなし
パスタ店で、2人ともミートソースパスタを食べます。ただし、弟のかずやはトッピングなしで、兄のたくやはチーズをたっぷりとかけて食べることになりました。
その結果、たくやよりもかずやのほうが食後血糖値はすぐに上がっていったのです。

 

○ミッション4 ラーメン店で醤油ラーメンかとんこつラーメンか
ラーメン店で、かずやはあっさりとした醤油ラーメンを、たくやはこってりとしたとんこつラーメンを食べました。
すると、かずやの血糖値がどんどん上昇し、140mg/dlに迫る勢い。一方のたくやは、血糖値の上昇が穏やかでした。

 

以上のように、私たちが「不健康」「太りそう」と思って敬遠しがちなメニューのほうが、血糖値が上がりにくいという結果が出てしまったのです。

 

脂質やたんぱく質
糖質の吸収を穏やかにする

亀川医師の解説では、脂質やたんぱく質が糖質の吸収を穏やかにするということです。
ミッション1では、チャーシューが血糖値の上昇を抑える役割を果たしていました。そのため「むしろ(チャーシューを)食べていただきたいですね」と亀川医師がコメント。
同様に、ミッション2は牛乳の乳脂肪、ミッション3ではチーズの乳脂肪、ミッション4についてはとんこつスープに含まれる骨の髄から出たたっぷりの脂肪によって、血糖値が上がりにくくなったわけです。

 カロリー計算が中心である食事指導では、目の敵にされてきた脂肪。しかし、血糖値を上げないという観点では、むしろ脂肪を上手に摂取して、糖質量を減らしたほうがよさそうです。

 

顔の土台もやはり筋肉。毎日鍛えればお金を一切かけずに、何歳になってからでも若返る!

まずは自分の顔に
かまってあげよう

美顔に関する本1冊の中面を編集しました(タイトル・カバーに、まったくかかわれなかったのが残念……)

この本のコンセプトは「高い化粧品も美顔グッズも必要ない! いつも笑顔を心がけるほうが顔は若返る」

ちなみに、化粧品を顔にせっせと塗り込むとシミができるという、葛西 健一郎医師の解説も実例写真付きで掲載しました。塗り込む、つまり皮膚をこすることがシミの原因になるので、マッサージも勧めていません。

その他の関連記事:「洗うのをやめると、アトピー性皮膚炎が治る!美肌になる! 石けんよ、サラバ」

shouchishuppan.hatenablog.com

 


女性の場合、自分自身をかまわなかったり、周囲からほうっておかれたり、つらいこと・悲しいことがあったりすると、顔がグンと老け込むようです。
ある程度年齢を重ねると、家族のことなどで忙しくなって、自分の顔なんてどうでもよくなるケースがあります。

女性の顔を観察していると、「この人は最近不幸なことがあったのかな?」「いつも忙しくて、無表情に違いない」と表情からストーリーが見えてきました。

こうして出来上がってしまった不幸顔や能面顔も、笑顔を作る表情筋を鍛えると、女性らしい魅力をたたえた表情になるのです。

その証拠が以下の写真。

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本にビフォー・アフター写真を掲載させていただいたのですが、年齢を重ねた女性の顔というものは「やせるとたるみが取れて小顔になる」「整形すればきれいになる」「化粧をすれば化ける」といった単純な話ではないことが一目瞭然ですよね。

美顔トレーニング「顔ダンス」を考案した加藤ひとみさんからは、次のように言われました。
「整形すると、皆さん、同じ顔になっちゃうでしょ? 顔に注射やメスを入れるよりも、自分の顔の筋肉を使って、自分らしい魅力を引き出したほうが、その人の個性が生きると思うんですよね」

きれいになるために、別人の顔になる必要はないということです。
最初のステップは、自分の顔にもっと興味を持つ、自分自身でかまってあげることのようです。

顔ダンスの体験者の一人は、育児と家事で忙しかったため、セミナーに通うことなどなく、サイトを見ながらやり方を覚えてこまめに実行したと話していました。

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つまりは、お金を一切かけずに、自力で美しくなったわけです。
継続することこそ美の力なり。というわけで、次のステップとしては、コツコツと続けることです。

体験者の皆さんからは「夫婦仲がよくなったんですよ」「同窓会で『こんなにキレイだったっけ』と声をかけられたんです」というお話も。
人間関係もグンと好転するし、若い頃以上に魅力的にもなれるようです。

 

美しい人たちは
努力を怠っていない


「顔ダンス」を考案した加藤ひとみさん自身の写真も、この本には掲載しています。

もともと別の雑誌の取材で加藤さんにはお会いしていました。

今思えば大変失礼なのですが、加藤さんの著書でご自身のビフォー・アフター写真を見たときに、「写真だから修正できるよね……」という感想を私は抱いていました。
小学3年生の娘も写真を指さして「ビフォーとアフターが絶対に逆だよ」と断言。

ところが、実際に加藤さんにお会いしてビックリ!
著書の写真以上に若々しいのです。

さらに、取材時に顔ダンスを実演しながら説明してもらいました。
自由自在に表情筋が動く様子を見て、「絶対に整形をしていない。これは本物だ。私もやろう!」と決意した次第です。

顔ダンスをやって実感するのは、普段の生活で表情筋を使っていないため、動きが悪いこと。しかし、毎日続けているうちに、少しずつ上達してきました。

筋肉を鍛えれば80代でも筋線維を育てられることが科学的にわかっています。ですから、年齢で顔の若返りをあきらめる必要はありません。

それに、お金も時間もかかりません。


顔は履歴書。美人だ、ブスだと他人と比べるよりも大事なのは、これから顔の筋肉を使って笑顔で暮らしていき、未来の顔を作っていくことかもしれません。

この本での顔ダンスは、読者の皆さんにすぐに実行してもらえるようにシンプルにしています。立ち読みで十分やり方をマスターできると思いますので、書店で手に取ってみてください(これでは本の宣伝にならない気もしますが……)。

 

 

葛西 健一郎医師によるシミ治療の専門書。

「ヤングケアラー」「ワーキングケアラー」が追い詰められないために、医療の側ができること

2018年4月に診療報酬と介護報酬が同時改定されました。

それに先立ち、厚生労働省が開催した「医療と介護の連携に関する意見交換会では、以下のテーマが検討されています。

●看取り

訪問介護

リハビリテーション

●関係者・関係機関の調整・連携

 

医療機関とケアマネジャー、通所リハビリ事業所、薬局薬剤師などとの連携を進めて、早期退院・在宅復帰、介護予防(要介護状態の維持・改善)、患者の希望に応じた看取り、処方の適正化を、国は推し進めようとしているようです。

 

ジワジワと「施設から在宅へ」介護の場を移行していこうとしています。

 

重度な要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしく過ごしていけるように、医療や介護、生活支援などが一体的に提供される「地域包括ケアシステム」ができるのは、すばらしいことです。

しかし、自宅などで介護を担う「ケアラー」にはどのように影響するのでしょうか。

 

訪問診療も行っているなごみクリニック(熊本県熊本市)院長の亀川寛大医師は「1日に何回も薬を飲ませなければならないことが、介護をしている家族にとって大きな負担になっているケースも多いんです」と語ります。

 

ケアラーにも仕事や学業など日々の暮らしがあります。介護の負担で押しつぶされないようにするために、どのような配慮が必要でしょうか。亀川医師に話を聞きました。

 

家族の介護と仕事や学業を両立させるために必要なことは?

 

健康バランスを崩したり
社会から孤立したりするケアラーが増えている

ケアラーとは、高齢者や障害者などの介護を無償で行っている人たちのことで、主にその家族です。

内閣府の「平成28年高齢社会白書」には「要介護者等からみた主な介護者の続柄をみると、6割以上が同居している人が主な介護者となっている」と書かれています。このことから、ケアラーの多くが同居して介護を行っていると考えられます。

 

住み慣れた家、友達もいる地域で過ごしたいという医療や介護を受ける人の願い。

そんな願いをかなえてあげたいという家族の思い。

少子高齢化による財源不足で、医療や介護の場を自宅に移したいという国の思惑。

 

三者の希望が合致して「施設から在宅へ」という流れができていますが、介護の負担に追われ、心身の健康バランスを崩したり、社会から孤立したりするケアラーが増えているようです。

「ヤングケアラー」「ワーキングケアラー」のように学校で勉強しながら、または働きながら介護し、学業や仕事との両立が厳しい状況に追い込まれている人もいます。

 

在宅介護の場合、おむつ交換・トイレ介助などの「排泄介助」、立つ・座る・歩行などの「移動介助」、食事を食べさせる「食事介助」をケアラーが行います。

 

さらに、介護を受けている高齢者の多くは、認知症やがんなど、なんらかの病気を患っています。そのために、薬を飲ませる「服薬介助」も必要になるのです。医師の指示どおりに間違いなく薬を飲ませたり、薬を嫌がっている状態でどうやって飲ませるのかを考えたり、神経をとがらせているケアラーも多いのではないでしょうか。

 

果たして、薬を処方する側の医師は、ケアラーの負担に気づいているのでしょうか。

薬を飲ませることが介護をする家族の負担に

 

服薬回数を減らす、時間を揃えるなどの配慮は
医師しかできない

亀川医師の印象では、ケアラーの手間を全く無視した処方の指示が頻繁に出されています。

 

「施設や自宅へ帰した後も、入院中と同様に漫然と処方の指示を出す医師が多いですね。起床時、朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前、夕食後、就寝前と、1日に何度も薬を飲むように指示を出しています。また8時間ごと、12時間ごとなど時間指定の場合もあります」

 

外来でも似たような処方の指示が出されているようです。「起床時や就寝前に薬を飲ませなくてはいけないから、そのために家族がわざわざ起きている。1日2回の食生活だったのに、内服の指示が3回だからと、わざわざ食事を3回作り、食べさせている……このような話を聞いたこともあります」と亀川医師は嘆いています。

 

服用回数が多かったり、服用するタイミングが異なっていたりすると「誤薬」のリスクは高くなります。

誤薬とは、誤った種類や量、時間、方法で薬を飲むこと。場合によっては症状を悪化させたり、重大な危機を及ぼしたりします。

 

誤薬して責められるのはケアラーです。

 

「誤薬はあってはならないことです。しかし、その誤りが少なくなるよう、服薬回数を減らす、時間を揃えるなどの配慮は、私たち医師しかできません」と亀川医師は強調します。例えば、胃薬やビタミン剤などを漫然と1日3回指示するのはやめて、ほかの薬と一緒に朝夕の2回にそろえるのです。他の薬剤に変更して、飲む回数を減らすことは可能なのだそうです。

 

 亀川医師は「自分で薬が飲めない人は誰が飲ませているのか。また、自分で飲むことはできても回数が多いと面倒ではないのか。こうした気遣いが医師にも必要ではないでしょうか」と問題を投げかけている。

 

「施設から在宅へ」という流れの中で、マニュアル的ではなく創意工夫に富んだ処方が医師に求められているのかもしれません。

 

 

□プロフィール

亀川寛大(かめかわ・かんだい)

なごみクリニック(熊本市)院長。1972年、鹿児島生まれ、熊本育ちの九州男児。97年、宮崎医科大学(現 宮崎大学)医学部を卒業後、熊本大学宮崎大学付属病院で消化器外科を専攻、鹿児島市医師会病院を経て、2003年、医療法人悠隆会(宮崎県延岡市)に勤務。17年6月より現職。糖質制限指導、間欠的ファスティング指導を行うほか、熊本を中心に全国各地で糖質制限セミナーを実施している。

●WEBサイト:https://toshitsuseigen.biz/category/kamedoku/

 

産後すぐの糖質制限は危ない!? スウェーデンでは救急搬送の例も

糖質摂取量の減らし過ぎは

命の危険さえ伴うことも

 糖質制限がテレビや雑誌など多くのメディアで注目を集め続けています。

 

 過去にも「主食抜きダイエット」「ローカーボダイエット」「アトキンス式ダイエット」「低インスリンダイエット」などとさまざまな名称で、糖質制限はブームを起こしてきました。糖質制限には確かな根拠があるし、ダイエット成功者の報告が多数あります。減量法としてはすばらしいでしょう。

 

 ただし、出産直後の女性については、糖質制限で心身の健康を損なうかもしれません。『マタニティ・ブルー』(誠信書房)では、糖質が不足することで産後うつが引き起こされる可能性があると報告されています。

 

 さらに、スウェーデンでは授乳期の女性が糖質制限によって命の危機に陥り、救急搬送されたと過去に報道されていました。

 

 早く元の体重に戻りたいと、産後すぐにダイエットに取り組む女性はたくさんいます。しかし、糖質の摂取量を減らし過ぎれば心のバランスを崩し、命の危険さえ伴うかもしれません。

 

過剰な糖質制限

「自然の抗うつ剤」が効かなくなる

 

 『マタニティ・ブルー』の著者は、イギリスの婦人科医であるキャサリーナ・ダルトン医師(1916-2004年)。

 

 ダルトン医師は、1953年にPMS月経前症候群)に関する医学論文をイギリスで初めて発表。PMSおよび産後抑うつ症に関する世界的な権威であり、それらの治療・研究によってチャールズ・オリバー・ホーソンBMA賞、アップジョン・フェローシップ、シャーロット・ブラウン賞、ロイヤル・フリー・ホスピタルからのカレン賞、ロイヤル・カレッジ・オブ・ジェネラル・プラクティショナーズからの英国片頭痛協会賞などを受賞しています。

 

 「抑うつ症」とは、気分が沈み、意欲がなく、悲しく不安で絶望的になっている精神状態です。この記事では産後抑うつ症を「産後うつ」と表記します。

 

 産後うつには、果てしない消耗、不合理ないらだち、時間や場所がわからなくなる失見当識、自分の子どもへの拒絶、そして母親の自殺が含まれています。

 

 『マタニティ・ブルー』では、500人の妊婦を対象に産後うつの調査が行われたことが紹介されています。そして500人中7%の母親が重篤産後うつになり、その特徴が「妊娠中にはなやぎ、幸福と生気に満ちあふれた女性」だったそうです。

 

 妊娠期間には全く問題がないと思われていた女性たちが、重い産後うつに陥ってしまったのです。エネルギッシュで明るい人だから大丈夫と安心してはいけません。

 

 1985年にサンフランシスコで行われたマルス学会の大会で、産後うつが3カ月後に発症するタイミングとして以下のものが挙げられていたと『マタニティ・ブルー』で記述されていました。

 

○授乳をやめたとき

○月経が再開されるとき

○ピルの服用を始めたとき

○夜勤の仕事を始めたとき

○体重を減らすためのダイエットを始めたとき

 

 注目すべきは5番目のダイエットです。

 

 どうしてダイエットで糖質の摂取量が減ると、産後うつになりやすいのでしょうか。

 その答えは女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)にあるとダルトン医師は説明しています。妊娠中の女性は、血液中のプロゲステロンが通常の50~100倍と高い数値で見られますが、分娩後数時間で低下。これほど激しいホルモンの変動で、体が混乱しないほうが不思議です。

 

 血液中のプロゲステロンは、プロゲステロン受容体の働きで細胞の中に運ばれます。このとき、細胞内の糖(ブドウ糖)が欠乏していると、プロゲステロン受容体はプロゲステロンではなくグルココルチコイド(糖質コルチコイド)というホルモンを細胞に運び込もうとするのです。

 

 プロゲステロンは自然の抗うつ剤と見なせると、ダルトン医師は語っていました。理由は、プロゲステロンはモノアミン酸化酵素の形成を阻止する働きをするからです。

 モノアミンとはドーパミンノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニンヒスタミンなどの神経伝達物質の総称。ドーパミンは「やる気ホルモン」、セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれています。「やる気ホルモン」「幸せホルモン」の働きを失わせる酸化という化学反応を、プロゲステロンは起こりにくくするのです。

 

 過剰な糖質制限で、自然の抗うつ剤であるプロゲステロンが細胞に運び込まれなくなることが、産後うつを招くメカニズムの1つと考えられています。

 

「あなたのままでいい」という

温かいメッセージを送ってほしい

 

 スウェーデンでは産後に糖質制限を続けていた女性が突然倒れ、命の危険もあったことが、症例報告のオンライン・データベース『Journal of Medical CASE REPORTS』2015年10月1日付で発表されました。

 

 患者は、産後10カ月の息子を母乳で育てている32歳の女性。吐き気と嘔吐、手足の震え、筋肉のけいれん、動悸といった急激な体調の異変を訴えて病院に救急搬送されました。

 

 彼女は摂取する炭水化物の量を1日当たり20g未満にするなど、糖質制限を続けていたのです。体重は4kg減りましたが、体調は著しく衰えていったといいます。

 

 彼女を診察した医師は、体液が酸性に傾く「ケトアシドーシス」の状態で、昏睡して命を落としていたかもしれないと説明。患者の女性は入院3日後にケトアシドーシスから抜け出せたそうです。

 

 国は変わって台湾では、産後すぐに薬を使ってダイエットに取り組んで突然死した女性の例が報告されていました。洋の東西を問わず、産後の無理なダイエットは危険性が高いといえそうです。

 

 日本だと「ママでもアイドル」の「ママドル」が多数出現。「ママでもキレイ」「ママでもスリム」「ママでもキャリアウーマン」といった活躍は喜ばしいことですが、妊産婦に過剰なプレッシャーを与えていないでしょうか。

 

 産前産後のホルモン変動などの知識を女性たちに伝えるとともに、「キレイ・スリムでキャリアがあるママドルになる必要はない。あなたはあなたのままで魅力的」といった温かいメッセージを送ることも、産後うつを防ぐために大切です。

 

 

●参考文献

『マタニティ・ブルー』キャサリーナ・ダルトン 誠信書房


New mother nearly DIES from a low carb diet: 32-year-old developed life-threatening condition after ditching bread, rice and pasta while breastfeeding

http://www.dailymail.co.uk/health/article-3262230/New-mother-nearly-DIES-low-carb-diet-32-year-old-developed-life-threatening-condition-ditching-bread-rice-pasta-breastfeeding.html