手のぬくもり、触れられる気持ちよさが自然治癒力を高めるという可能性

「看護師は医師の単なるサポート役ではありません。看護師にしかできない仕事があるのです」

このように語っていたのは、看護師の川嶋みどりさんです。
川嶋さんは90歳に近い年齢ですが、まだ新人だった頃に末期の悪性腫瘍だった9歳の女の子を担当、看護の力を実感したのだそうです。
女の子は衰弱して痛みを訴えるばかりで、まったく食事が取れない状態でした。
しかし、川嶋さんが温かいタオルで体をきれいに拭いてあげていたら、1週間後に「おなかが空いた」と訴えてきました。
川嶋さんがおかゆを作って持ってくると、女の子はおいしそうにおかゆを飲み込みました。
その姿を見て、川嶋さんは「体に触れてケアすることで、看護師にだって救える命がある」と確信したのだそうです。

医師にしてみれば、治療は薬や手術で行うもの。
「患者の体を拭く暇があったら、医者を手伝え」などと川嶋さんは言われたとのこと。
それでも川嶋さんは「看護で患者さんの症状が回復に向かう可能性が高い」と考え、看護師の仕事を続けてきたと話していました。

看護師の手のぬくもり、触れられる気持ちよさが、患者さんたちの生きる力と生きようとする思いを強めたのではないでしょうか。

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私は編集者としての25年の間に、川嶋さんをはじめ、多くの人に「病になること」「病から回復すること」の話を聞いてきました。
そして人間の体には、検査の値や前例だけでは決めつけることのできない、計り知れない力があると思うようになりました。

医師に言われたことや数値だけで一喜一憂しないほうがいいでしょう。
また、医師にもいろいろな人がいて、ある治療法に対してまったく正反対の見解を示していることは珍しくありません。
人気の医療ドラマシリーズ「ドクターX」でも、さまざまな医師の姿がコミカルに描かれています。
失敗しない医師はさすがに架空のものですが、今の医学界や医師の在り方については思い当たるところが多いので、多くの人におもしろいと評価されているのではないでしょうか。