息を吐いて、吸う。これが最高の健康法

深呼吸で
心身が緊張する!?

25年にわたってさまざまな健康情報を集めてきましたが、けっきょくは息を吐いて吸うことがいちばん効果的な健康法だと私は思います。

 

「えっ、そんな簡単なことが!?」と怪訝に思われるかもしれませんが、実は呼吸は簡単ではありません。

案外、深く呼吸する方法を知らない人は多いものなのです。

 

とても印象的だったのは、ある総合病院の耳鼻咽喉科医師の深呼吸に関する解説。

 

彼が診察した経験では、耳鳴りやめまいなど、症状を訴えて受診する患者さんの多くが、自律神経が乱れていたのだそうです。

自律神経は、私たちの意思とは無関係に、血流や内臓の動きなどをコントロールしています。

自律神経には、交感神経と副交感神経があります。

緊張・活動のときに優位になる交感神経と、弛緩・休息のときに優位になる副交感神経が、絶妙にバランスを取って、体の働きはコントロールされているのです。

 

余談ですが、自律神経について「交感神経と副交感神経がシーソーのようにバランスを取り」や「交感神経と副交感神経が拮抗して」などと表現されることが多いですね。

しかし、自律神経を研究してきた医師や大学名誉教授の話では、交感神経と副交感神経は力を張り合っているわけではないようです。

「仲のよい夫婦のような関係」と、ある医師は表現していました。

様々な解説がされているということは、自律神経については実はわかっていない部分のほうが多いということです。

 

現在では、自律神経の働きや呼吸の深さなどを計測できる機器があるようですね。

耳鼻咽喉科医師は、患者さんの自律神経や呼吸を計測し、症状の強さなどとの関連について調べていました。

 

そこでわかったのは、「ふだん浅く呼吸している人が深呼吸しようとすると、交感神経が高まる」ということでした。

 

深呼吸は心身をリラックスさせ、副交感神経を優位にするなどと一般に言われています。

しかし、呼吸が浅い人については逆効果になる可能性が高いのです。

理由は、呼吸が浅い人は胸で呼吸をしがちで、息を深く吐いたり吸ったりしようとすると肩が上下するなど力んでしまいます。

言い換えると、おなかで深く呼吸をする体ができていなければ、深呼吸で緊張し、交感神経がますます高まるということです。

 

深く呼吸ができるよう
体を整える

「ヨガでは呼吸が重視されている」と言われていますが、厳密にはちょっと違うようです。

 

体をねじったりひねったりしてポーズを取ることを「ヨガ」と呼んでいますが、ポーズを取るのは「アーサナ」と言って、ヨガの1段階に過ぎないとのこと。

このことは、“ヨーガ行者の王”と呼ばれている男性と、ヨガの指導者でもある耳鼻咽喉科医師から聞きました。

ヨガには8つの段階があるそうです。

最初の段階は、ウソをついたり、暴飲暴食したりしないこと。

次の段階は、感謝し、努力すること。

3つ目の段階が、アーサナ

さらに上の段階が、呼吸とのこと。

 

「ウソをつかない」という最初の段階がとても難しいのではないかと思ったのですが、それはさておき、ポイントは、アーサナよりも呼吸のほうが1段階上にあるということ。

体が整った段階で、ようやく呼吸法に入れるのです。

 

満腹の状態だと、深く呼吸をすることが難しくありませんか。

また、腹筋が弱ければ、深く呼吸をできません。

 

逆を言えば、深く呼吸していると腹八分目で満足できて、腹筋も鍛えら、姿勢がよくなります。

ちなみに、ブレサリアンと言って、食べ物を摂取せずに呼吸だけで生活する人もいるようですね。

知人の話では、ブレサリアンのお坊さんが「うっかり食事をしたせいで、元気が出ない」と言っていたのだとか……。

不食の境地は置いておいて、単純に深呼吸すれば、健康効果が現れるわけではないということは耳鼻咽喉科医師の研究でわかっています。

呼吸を簡単・大ざっぱにとらえないで、どうすれば呼吸が深くなってどんなときに浅くなるのか、正直だと深くなってウソをつくと浅くなるのか、感謝をすると深くなって不平不満をこぼすと浅くなるのか、自分自身で意識することが、実は最高の健康法なのかもしれません。