『女の子のからだの知恵』はじめに

○「からだリズム」に生活のペースを合わせよう

 女の子のからだは、自分が望む、望まないとは関係なく、少しずつ赤ちゃんを生むための準備を進めています。

 幼い頃は男の子も女の子も、からだの違いはほとんどありません。おちんちんがあるかどうかぐらい。
 しかし、小学校の高学年になると、すぐに見分けがつくほどに男の子と女の子のからだは変わります。女の子はふっくらと丸みを帯びた体形になっていくのです。
 そして月経(生理)が始まる頃には、からだの調子も気分もおよそ1カ月の間に波のように上がったり下がったりしているはずです。こうした変化は当たり前のこと。今から約6500万年前に人類が誕生したときから、女性のからだには波がありました。これは子孫を残すために重要なからだの役割なのです。

 女の子という生き物としてのからだを大切にすると、不思議なことに、心も楽になります。

 「月経があるから、テストでいい点数が取れない」「男の子よりも運動神経がよかったのに。今は成績が残せない」などと、女の子のからだをわずらわしく思うのは悲しいこと。
 また「受験や部活の大会に合わせて薬(ピル)を使って月経をずらそう」というメッセージも、ネットや新聞で見かけます。しかし、世の中の都合に合わせて女の子がからだをコントロールし過ぎると、ひずみが現れる可能性が高くなります。
例えば、体重・体形をコントロールする過剰なダイエット。ダイエットに夢中になり過ぎて、いつしか食べ物を受け付けられなくなり、拒食症や過食症に陥る人は珍しくありません。

 薬や食事制限など力ずくで女の子のからだの波を押さえつけるのではなく、むしろ力を抜いて波に乗ったほうが、女の子の豊かなパワーが気持ちよく発揮できるのです。
 波に乗る方法は、人類の長い歴史の中でおばあちゃんからお母さん、お母さんから娘へとひそかに受け継がれてきました。こうした「女の子のからだの知恵」は、残念ながら昭和の高度成長期に伝承が途絶えたようです。皆さんのおばあちゃんやお母さんは知らないかもしれません。ですから、私は25年の編集者生活で東洋医学や整体などの専門家に教わった知恵を、ここで紹介することにしました。

 女の子のからだが成長するペースは、一人ひとりで違います。友達と比べる必要はまったくありません。自分のペースに合わせて、気持ちよく、楽しく、女の子としてのからだをいとおしんでください。

○赤ちゃんを迎えるふかふかのベッドがほぼ毎月作られている


 小学校でもすでに女性ホルモンのお話を聞いているとは思いますが、もう一度おさらいしましょう。

 女の子のからだには、生まれたときからタマゴ(卵子)のもとが卵巣という場所で蓄えられています。ちなみに男の子のからだには、タマゴとくっついて(受精)赤ちゃんを作る精子を作る場所が備わっています。

 女の子のからだが成長すると、卵巣は赤ちゃんを育てる子宮という部屋に「赤ちゃんが来るかもしれないから、ふかふかのベッド(子宮内膜)を用意しましょう」と伝えます。このメッセージを伝えているのが、女性ホルモンのエストロゲン。ホルモンは、いろいろな場所にメッセージを伝える役割を果たしています。
 子宮でベッドの準備ができたら、脳から「そろそろタマゴを出してください」と卵巣にメッセージが送られます。
 こうしてタマゴは、子宮と卵巣をつなぐ管(卵管)に飛び出します。そのときに、「ベッドをもっとふかふかにしてください」とタマゴのもとから子宮にメッセージが送られます。これを伝えるのが、女性ホルモンのプロゲステロン

 精子と出会わなければタマゴは2週間で消えてしまい、赤ちゃんのためのベッドはいらなくなってしまいます。古くなったベッドを外へと出してしまうのが月経(生理)です。
 このように、赤ちゃんを迎えるための準備が、女の子のからだの中ではほぼ毎月、規則正しく行われているわけです。

 私たちももとはと言えば、お母さんのタマゴとお父さんの精子が出会って命が生まれ、お母さんの子宮のベッドで10カ月かけて成長してから、お母さんのカラダから出てきました。
 お母さんも、そのまたお母さんも、みんな同じ。命はつながっているのです。

女性の体の知恵

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