『女の子のからだの知恵』手の知恵

○脳や内臓と関連している手


 「手は突き出た脳」と、ドイツの哲学者、カントが言ったそうです。また、カナダの医師、ペンフィールドの実験で、手に対応する脳の面積が広いこともわかっています。
 脳と手の間に密接な関係があるのは、私たち人間が手を使って小さな物をつまむ、字を書くといった細かい作業を行っているからでしょう。
 さらに、首や胸の部分の背骨から出ている神経が、手には分布しています。背骨がゆがんだりして神経の働きが妨げられると、手がしびれて動きにくくなります。
 背骨から出ている神経は手だけでなく、胃や小腸、大腸、肝臓などの内臓ともつながっているので、手に変化があるときは内臓の働きも悪くなっている可能性があるのです。
 私たちのからだを観察することで発達してきた東洋医学では、手や指から内臓の状態を判断していたようです。
 また、体には経絡と呼ばれる気(一種の生命エネルギー)の通り道があると東洋医学では考えます。内臓などは経絡に支配され、内臓に障害があるときは、それに関係が深い経絡にも異常が現れます。こうした経絡が、手の指には経絡が通っているのです。
 ただ、手をじっくりと眺めなくても、握手した手ががっちりしている、手のひらが汗でびしょびしょになっているといった手の状態から、相手の心身の状態がわかることもあります。

 私たちは言葉を使わずに手からさまざまな情報を得ているのです。

○手相のウソ・ホント


 手を動かすことでできた手のひらのシワが、手相の線です。手の動きが悪くなったり握力が落ちたりすると、手相の線は薄くなり、消えることもあります。
 逆を言えば、手相に変化があるときには、手と密接な関係がある脳にもなんらかの変化があるわけです。
 だからといって、「○歳で結婚する」「△△という職業に向いている」と手相で占うのは、いくら何でも無理があります。当てにしないほうがいいでしょう。
 大切なことは変化。「手相の線が前よりも短くなった」「ぷつんと切れている」などと気づいたら、心と体の両面で見直す必要があります。脳と内臓が手を使って、本人が気づいていない精神的なストレスや内臓の疲れを伝えているのです。
 ですから手相のいい・悪いを気にするよりも、手を見て自分の本当の状態を知るように心がけてください。

 心とからだの状態が、手相からわかるだけではありません。手と脳、手と内臓は相互に作用しているので、手を動かしたりもんだりして脳と内臓の状態を改善することもできます。

○自分の本当の気持ちは手でわかる


 ある女の人に「恋愛と結婚について知りたいから、手相を見て」と頼まれたことがあります。彼女の手がとても冷たくて、びっくりしました。それで「まずは手をケアしたほうがいいよ」と私は伝えました。
 手の冷えは、緊張や不快感などで血流が悪くなっていることを示しています。そんな状態では、恋愛対象となる男性を冷静に判断できないのです。かわいらしい彼女には言い寄ってくる男性も少なくないでしょうが、「彼女自身が彼を本当に好きかどうか」を無視して、「とりあえず恋愛してみたい」「緊張や不快感を取り除いてくれそう」などと早まってしまうかもしれません。
 ちなみに、車酔いでも、手がひどく冷たくなります。本人は気持ち悪さを我慢しようとしても、手は正直に不快さを表現しているわけです。
 大事なのは、自分の手を通して「今、私はなにかを我慢しているらしい」などと気づくことです。ポイントは「なにか」を突き詰めるのではなく、「我慢している」という気持ちを自覚すること。
 そして、手をマッサージをしたり、手浴で温めたりします。手浴では、洗面器にちょっと熱いお湯を張り、手首までお湯につけます。手が心地よく温まるまで行いましょう。

○あなたの手にも誰かを癒す力が備わっている


 ケガの治療を「手当て」と言います。病気やケガの患部に手を当てると痛みが治まることが、この言葉の語源です。
 世の中には、手を当てたりかざしたりして治療をするという怪しげな人々もいます。彼らは特別な能力を持っていないし、やり方をわざわざ教わったり、お金を出してやってもらったりする必要は一切ありません。

 手を当てることで、自分や他人を癒し、慰める力は、すべての人に備わっているのです。
 悲しんでいる人の肩にそっと手を置く、苦しんでいる人の背中をゆっくりとさすってあげる……そんな些細な行為で、あなたは誰かの力になることができます。
 大切なのは、「私が癒してあげる」「私が慰めてあげる」と自分から相手に働きかけないこと。まずは自分の心を空っぽにして、そっと、ゆっくり、手当てをしましょう。

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